
夜景評論家・丸々もとおさんがパーソナリティを務める「Marumaru Lounge 丸々もとおの賢人会議」にて、青山の原体験から現在の取り組み、そして再生可能エネルギーがもたらす“地域と都市をつなぐ未来のかたち”について対談させていただきました。
本記事はラジオ放送回の内容の書き起こしになります。
※一部言い回しの修正、加筆、ならびに省略がございます。
引用:ラジオ日本「Marumaru Lounge 丸々もとおの賢人会議」
https://www.jorf.co.jp/?program=marumarulounge
放送回:2025年7月16日、23日 24:00 〜
目次
ー 幼少期から現在にいたるまで
丸々もとおさん(以下、丸々):
まち未来製作所さんは、持続的な町を作るコンサルティングファームということで、私は観光業界が長く、近年、夜景や光関係にも関わっており、どうしてもエコであったりとか、エネルギーは切っても切り離せない所にありまして、 そういった意味でも親和性もきっとあるんじゃなかろうかと勝手な思いもあり今回お越しいただきました。
青山さんはご出身はどちらになるんですか?
青山英明(以下、青山):
生まれは、福島県の郡山というところでして、生まれてすぐ会津若松の方に行って、その後いわきで幼稚園に入学した感じです。
丸々:
学校の勉強はどうだったんですか?
青山:
学校は算数と理科が好きで、理系でしたね。ただ、僕は幼稚園の時から剣道をずっとやっていて、ずっと辞めたかったんですけど(笑)、他に出来ることがなくて、高校までやりました。チームの人数が少なかったのもあって、辞めちゃうと大会に出られなくなってしまうとかで辞めづらかったですね。主将だったこともあって。
丸々:
私も小学校では剣道をしていたんです。ただ、私の場合水泳に目覚めて水泳にいきましたね。主将ということは強かったんですね。
高校はどちらだったんですか?
青山:
滋賀県でした。
中高が滋賀県で、一貫して剣道もそのままやっていました。
丸々:
その後どこを目指されたのでしょうか。
青山:
かなり前ですが、幼稚園で(福島県)いわき市から転勤で大阪に行ったんです。大阪に行った時にびっくりしたのが当時の水ですね。大阪の幼稚園で、その後、滋賀の小学校に入ったんですけど、滋賀に行った時に琵琶湖が当時汚かったんですね。
琵琶湖に入る川はたくさんあるんですけど、出る川は1本しかないらしく、それが京都、大阪に水を運んでるらしいんのですが入る川の水がそもそも汚れていて、琵琶湖に汚いのが溜まっていてどんどん濃縮されていたようでした。
丸々:
それは、1980年代ですか?
青山:
80年代前半ですね。
このあたりから子供ながらに環境問題にものすごく興味を持ちました。
母親もそうなんですが琵琶湖の水をきれいにしなきゃということで、ママさん方のボランティアで使う洗剤を合成洗剤をやめようとか、水環境を悪くしない生活スタイルみたいなものを町内会で結構やってたんです。
丸々:
すごい先進的ですよね。
大学は環境的なところにいそうですね?
青山:
僕が大学と大学院で勉強していたのは牛とか豚の家畜の糞をリサイクルしたり、
エネルギーに転換したりする研究をずっとやっていました。
丸々:
後々聞きましたけど、あの糞がエネルギーを持つとか、発酵してみたいな。
青山:
そうなんです。
丸々:
その研究をしたいから、(北海道)大学に行ったのか、
大学に入ってからそれ(研究)に出会ったのか、どっちだったんでしょう。
青山:
後者ですね。北海道大学の農学部に入りました。
理由は、親戚が結構北海道大学に行ってたので行こうと思って入りました。研究室をいろいろ探していたら、今、当社の顧問もやってくれている松田從三(マツダ ジュウゾウ)先生という方が、糞からエネルギーを作る世界的な権威でして、そこの研究室に行ったんです。
丸々:
(松田)先生との出会いは結構大きかったんですね。
今もそうやって顧問されてるということで。
青山:
本当にそうですね。
ありがたいことです。
丸々:
その先(大学卒業後)はどうしようとなったわけですか?
青山:
(大学で)リサイクルとかエネルギーを学んでいたので、それに近い業種ということで、
プラントメーカーの株式会社荏原製作所(えばらせいさくじょ)に新入社員として入らせていただいて東京に出てきました。
丸々:
まち未来製作所を作っていくまで何年ぐらい、どういう経緯で今に至るんでしょう。
青山:
(荏原製作所)に入社して10数年預かっていただきました。
その頃はずっと民間のリサイクル業者さんや、基礎産業のセメントや非鉄金属などの企業の方々向けに、再生可能エネルギーに関連する様々な事業の企画とか、営業をやらせていただいていました。(いわゆる) 企画営業ですね。
すごく楽しかったんですけど、2011年の東日本大震災で生まれが福島というのもあっていろいろ考えることがありました。特に福島のエネルギー問題や原発事故も含めて、これは誰のために福島はこうなっちゃったのかな? ということも考えたりして。
自分にやれることは何かなというように考えまして、(私ができることは)プラントを売ることじゃないんじゃないかと思いました。 持っているノウハウを町づくりとか復興に使っていこうと思って(荏原製作所を)辞めたんです。
青山:
辞めた後は、復興プロジェクトをたくさん抱えているコンソーシアムというか、コンサルティングファームに入社しました。
そこで4年、5年ぐらい復興事業をいろいろ経験させてもらいました。
丸々:
復興事業は例えばどういうことをされたんですか?
青山:
結構頑張ったプロジェクトとしては、1つは宮城県の気仙沼の水産加工団地の復興プロジェクトです。
もう1つは、同じく宮城県なんですが、東松島市の復興住宅の無停電化、エネルギーで自立した町を作るというプロジェクトです。
この2つがあの当時、私がやったプロジェクトですね。
丸々:
そうなんですね。
2011年が(東日本大震災)かなりエポックメイキングな出来事になったんですね。
青山:
はい。
あれがなかったら、多分まだ、荏原製作所にいたかなって思います。
ー まち未来製作所の事業内容
丸々:
でも、あれですね。復興もそうだし、エネルギーに関わる、それこそリサイクルとか環境に関わるっていうところの知見や、実践的に営業的な立場みたいなところも(含め)、いろいろ経験されている中で、ある程度、自分で武器を身につけてきたわけですよね。
それが契機となって、その武器をいかに使っていこうかというふうに転換してたわけですね。
まち未来製作所さんはどのような事業をされているんでしょうか?
青山:
そうですね。 僕たちの会社は一貫して軸足を「まち」に置いていて、その「まち」の多くは地方都市になります。
最近は都市部もあるんですが
ただ地域、地域で課題や困り事はすごく沢山あって、まさにあの震災とか復興とかっていうのも巨大な困りごとですけど、それ以外にも 上下水道の老朽化とか、ガソリンスタンドがなくなっちゃうとか、クマが出ちゃうとか、 野犬とか、そういうのを含めて、地域の困り事をビジネスモデルで解決するようなことができないかなっていうのがうちの会社の(軸)ですね。
製作所として作るものはビジネスモデルなんです。
丸々:
ビジネスモデルを作る製作所なんですね。
青山:
はい。なので、ビジネスモデルをいくつか作って、地方都市に 展開をしていくようなことをずっとやってきていますね。
丸々:
会社のホームページを見ると、再生可能エネルギーの地産地消、プラス、地域貢献の仕組みということで、「e.CYCLE(いいサイクル)」という仕組みを作られているということですが、それもそういうことなんですか?
青山:
そうですね、当社が作ったビジネスモデルの1つですね。
丸々:
具体的に言うと、どういうことなんですかね?
青山:
再生可能エネルギーというのは、世界的に必要になっているエネルギーで、人類が持続的に発展していくために不可欠なエネルギーなんですが、一方で(再エネを)受け止める側と使う側っていうのが立場としては少し違ってきています。 作るのは地方、使うのは都市部という、(再生エネルギーを)作る地域で色々な困ることが発生して、使う側はそこを分からないという状態が起きるんです。これを是正するために、当然、追加のメリットを生みながら、その追加のメリットをうまく配分しながら、みんなが腹落ちをしていくためのバランスをステークホルダーから作っていく、そういうモデルがこの「e.CYCLE(いいサイクル)」なんですね。
再生可能エネルギーは発電事業者さんがすごく儲かって、地元には全然メリットがないように見えるというか。 実際そういうところもあるんですけど、発電事業者さんからすると、そんなに儲かってないんだって人もいるんです。ここはちょっといろいろあるんですが、いずれにしても、地元から見ると、そこでグルグル回っている風車、地元に風切り音とかを出して、地元の風で電気を作って 儲かってるじゃないかという、(じゃあ)地元には何が落ちてるんだろうと。いや、固定資産税払ってるじゃないかっていう話もあるんですけど、これは逆に言うと払わないつもりなんですかって話もあってですね。
なので、やっぱりこう、何かつながりを持つためのメリットの循環みたいなものを、実は発電事業者さんも求めているんですよ。
地元と仲良くしたいっていうのはありますね。
丸々:
そういう発想の方って過去にいたんですか?
青山:
発電事業者さんでなんとかしようっていう人たちは、ちょこちょこいたりしたんですけど。
丸々:
それをなんか事業構造としてね。いや、ビジネスでしようみたいなことは。
青山:
ないですね。
丸々:
フラストレーションはあったけれどもって感じですね。
風車が回ってて、私なんかからすると、そこの土地が儲かってると思っちゃってました。そこで回ってる風電力をその土地の自治体に売って、それをその自治体が使ってるっていうこと(だと思っていて)、それが都市部に行っているってあんまり思ってなくて、あれ、都市部に流すためにやってるみたいなところもあるわけですか?
青山:
まあ、それもそうですね。
その他、物理的な問題もあります。
まず、発電所を持っている人が誰なのかっていうのがあります。 発電事業者さんが地元の方じゃないケースが多くて、一番分かりやすい例でいうと、東京に本社のある会社が地方に発電所を投資をして作ると、そこで儲かったお金は、当然回収をしていくため持っていっちゃう、 だから東京が潤うというのは、こういう構図でして、雇用も東京で生まれて。 設計者も、なんとかもかんとかも、みんな東京でって感じですね。
丸々:
地方といえば、ただ土地をそこに置いているというか、まあ、いい風吹くから、ここにしようかっていう感じで、固定資産税払ってるからいいだろうということで、企業誘致になってるのかどうかもよくわかんないっていう感じですね。
じゃあ、それをどう変えるのが地産地消で、地元に対してメリットがあるというようになってくるわけですか?
青山:
発電事業者さんのまずお立場からすると、作った電気がちゃんと売れるというのがまず大前提です。 大前提それが商品ですから。 逆に言うと、それができれば、まあ1つオーケーなところもあってですね。なので我々はその電気の売り先の間に入って一部をできるだけ地元につないでいくということで、電気の流れを少し変えていくということをします。
丸々:
そういう考え方っていうのは始められた時はまだなかなか受け入れられるまで時間がかかったと思いますが、今になってみれば、そういった事例は全国各地で増えてきた感じですか?
青山:
そうですね、すごく増えていると思います。
ー「e.CYCLE(いいサイクル)」と地域活性化原資
丸々:
「e.CYCLE(いいサイクル)」以外にはどのような取り組みをやられてるんでしょうか?
青山:
「e.CYCLE(いいサイクル)」に関連することではあるのですが、この枠組みの中で地域活性化原資というのが生まれるような仕組みになっているんです。僕らがこの再生可能エネルギーの流通に入ることで、一部効率化するコストが出てくるんです。今まで1円かかってたところが0.3円で済むとかですね。そういう形でコストダウンできる余地が出てくるんですけど、我々はその0.3円になった部分を受託をして、この0.3円をいろんなところに配るんです。
通常0.3円の収益があった場合なんですけど、それを当然自社にプールしていくというのが一般的だと思うんですけど、当社の場合はそれを戦略的にステークホルダーに戻していって、仲間を作るという戦略ですね。
丸々:
具体的にそれはもうちょっと詳しく聞きたいですね。
とても興味があるんですけど、そもそも1円だったものを、御社の仕組みに切り替えることによって、0.3円になるということは、0.7円分、自治体は得をするので切り替える理由にはなるわけですよね。でも0.3円というものを1つの単なる利益としてプールして、いろんなものに使うんではなくて、せっかく自治体とか町と付き合っているのであれば、その0.3円をその町のためになるような形で町に関わっているステークホルダーさんに対して、要はいろんな支援をするとかいっていうことでしょうか?
青山:
おっしゃるとおりです。
丸々:
具体的にはどのような支援をされているのでしょうか。
青山:
金額ベースで行くと、0.3円頂戴したうちの0.1円を発電所に戻すんですね。要は仲良くしてくれてありがとうございますという形ですね。逆にこの0.1円をどう使おうが、発電事業者さんの勝手なんですけども、できれば地元に使ってくださいって形で。
我々の手元には残り0.2円残るんですが、この0.2円のうちの0.15円、75%を地元に還元しているんです。
丸々:
ずいぶん還元しますね。
原価っていうか、 会社利益的には25%で運用しなきゃいけないっていう話ですよね。
青山:
そうですね、0.05円(が会社に入る)ということになります。
丸々:
75%地元に返すと。
返す時には、「好きに使ってください」って話ではもちろんないわけですよね。
どういう使われ方をされるんですか?
青山:
基本的には地域活性化原資という名前にしていて、このお金は発電事業者さんの協力であり、需要家さんの電気代にも含まれているので、「この0.15円は地域の活性化に資することに使ってください。みんなの思いとしてはそれです」、っていう形の戻し方で、具体的には地元企業とか、地元のベンチャーさんとか、NPOさんとかの事業に投資をしたり、融資をしたり、あとは地元の行政さんに寄付をしたり、学校とかもですね、(そんな)使い方をします。
丸々:
それは、例えば御社から直接寄付をするのか、一回自治体にに全部75%返して、そこで運用を任せるっていう感じなのか、どちらなのでしょうか。
青山:
どちらも一応できるようになっているんですけど、ここは行政さんや自治体さんと協議をしながら決めていきます。行政さんは意外と自分たちがちゃんとお金を使えるかどうかというところに、絶対の自信を持っているわけではない場合もあるので、我々の方で企画をして、提案していたりもします。
丸々:
じゃあ、こういう使い方をしたらどうですかっていうプレゼンテーションも、いわゆる助言として指定して、
そういった中で選ばれるわけですね。
青山:
具体的には例えばこのまえやったのは、茨城県の神栖市っていうところで、そこで地域活性化原資が大体年間で4000万円ぐらい出るんです。再エネ発電所がたくさんあるところだと、もう数千万円単位で地域活性化原資が出るんです。
これを我々はリース会社さんと連携して電気自動車の無償リースとして、車を買って、ラッピングして、充放電器もセットにして、全部リースでタダで使ってくださいという形でお返ししました。
丸々:
自治体はタダで使えるって形で。
もし災害で何かあった時とか、介護ケアとか、いろいろな場面で使われてくということですね。
青山:
そうですね。(今回提供したEV車は)ホンダさんのエヌバンイーというEV車で、
去年の10月ぐらいに新車発表された小型のバンタイプの電気自動車で、結構使い勝手がいい物なんです。
丸々:
それはオール電気で動くと。
青山:
はい。これを15台。充電所もつけて(お渡しいたしました)。
そういうことに使ってみたりしています。
丸々:
財団的な感じもあるんですね。
青山:
あとは地元のスポーツ選手の育成に使ったりとか。
神奈川県の山北町という所に、神奈川県庁さんが持っている、水力発電所があるんですね。
あそこの電気も「e.CYCLE(いいサイクル)」で回していて、年間で100万円ちょっとぐらいの地域活性化原資が生まれるんですね。
発電所1個なので、(神栖市と比べると小さい額ですが)、それを5年分使って地元の小中学校に電子黒板を一斉導入したりとかしています。
丸々:
ちょっと下世話な話をしてしまうと、必ずしもその自治体で、こういうふうに使っていこうっていうアイデアがない場合、
その自治体じゃなくて、隣の自治体でやった方がいいんじゃないかみたいな、なんかそういうことって生まれてこないんですかね?
青山:
使い切れないケースっていうのは、今のところまだ出てきていないんですが、 確かに本当に地域課題を抱えているのに、地元に再生可能エネルギーもないがために、地域活性化原資が出ないっていう地域はあります。
なのでここは、(現在の)我々のモデルだとサポートができないことになります。
丸々:
そうですよね、そうなった時に、結局、再生可能エネルギーをやってるところだけが原資が出てくる状況になっちゃっうこともありますよね。
でも多分、会社として目指されていることとしては、町自体を面できっと捉えているのかなと思うと、1つの町が起点になるけれども、その町の輪を越えて、観光なんかで言うと、広域連携って言ってですね、なんかそういう発想でやっていくっていうことはあり得るじゃないかと思いました。
青山:
そうですね。
1つ言えるのは、我々のテーマとして今は「e.CYCLE(いいサイクル)」で再生可能エネルギーをテーマにしてますけども、地域の何かしら、自然力みたいなものとか、地域の何か景観みたいなものとかを使った商売、価値創造であれば同じ仕組みができるはずなので、そういう意味ではたまたま再エネはないかもしれないんですが、もしかしたら水とか森とかだと、今、環境証書が作れたりするので、そういうものとか他の何かっていうのはあるかもしれないなと思います。あともう1つキーは、都道府県単位での連携だと思うんですよね。隣り合ってる町同士がありますから、やっぱり県単位でまとめるっていうのは1つかもしれないですね。
丸々:
お話を伺ってると、可能性がすごくあるというように感じます。
事業を始められて今何年目ぐらいなんですか?
青山:
4年ぐらいですね。
丸々:
まだそんなもんなんですね。 でももう相当活用事例は広がってきているんですか?
青山:
今、連携して「e.CYCLE(いいサイクル)」を導入していただいている地域は50カ所を超えています。
ー 民間企業との連携
丸々:
民間企業との取り組みはありますか?
例えばどのような事例があるのでしょうか?
青山:
業務提携いただいているのが、京セラさんです。
京セラさんが作った太陽光パネルの電気を当社(まち未来製作所)が集めて、京セラさんの電力会社さんがあるので、そこにせっせと我々が電力を運ぶことをしています。お渡しすると、その電気を京セラさんは自社工場とか、自社ビルとかに供給していくんですけども、我々はその流通の過程で地元に貢献するような収益還元の仕組みを「e.CYCLE(いいサイクル)」の中で持っているので、ただ電気を運ぶだけではなく、地元貢献もしながら、京セラさんの本社の電気だとか、工場のCO2(排出)を下げながら、バランスをとるということをやってます。
ー 地域イベントと連携した関係人口を生み出す取り組み
丸々:
そうなんですね。私は観光とか、そっちの分野の人間なんですけど、観光業界における(取り組みは)何かあるんでしょうか?
青山:
やっぱりエコツーリズム的なところもありますし、観光のイベントとかですよね。
関係人口を作るという観点で、 例えば、特定の地域の特定の発電所の再エネを使ってイベントをやるとかですね。
Co2フリーのサッカー大会とかありますよね、そこにさらに地域還元ストーリーを載せていくような取り組みをしています。
丸々:
というのは具体的に、ある土地の観光に何かしらアウトプットをしようと思ったときに、その地域の再生可能エネルギーの、
さっきの0.3円じゃないですけど、そういったものの原資を活用しながら観光事業に対して何らかの貢献をしていくメニューを作っていくっていうことですよね。
青山:
そうですね。あとイベント自体を地元の再エネを使うようなこともしています。
この前あったのが、横浜のクリスマスライトアップイベントで、神栖の風力発電所の電気をあてて、 チラシに「神栖の風車の電気で動いてます」と載せたりしています。
丸々:
それは神栖のPRになって、神栖に来ていただくきっかけを電気で結んでいるということですね。ということは、神栖で(生まれた原資を)横浜の照明の電力として使うっていうことですよね。つまり(横浜の)電気代を少しサポートするということですか?
青山:
そこで言うと、神栖の再エネ電気を横浜のイベント利用のためにイベント運営の方に買っていただいています。
丸々:
横浜のイベント、クリスマスライトアップのイベントの主催側に神栖の電気を買ってもらうということですね。
ちょっと安くなるっていうことですよね。
青山:
そうです。
そして、買ってもらった電気のうちほとんどが神栖の地元に貢献するような基金に生まれ変わります。
丸々:
少し安くなるっていうメリットと、要はエコとしてのSDGsじゃないですけど、環境的な貢献をしてるっていうイメージを、 横浜側というか、クリスマスライティング側も、ちゃんとPRできるというところですよね。
実は、うちの会社は夜景とかイルミネーションイベント、 例えばハウステンボスとか、いろんな世の中にあるイルミネーションを制作として、プロデュースで関わっているんです。
自治体のイルミネーションイベントにも大きく関わっているんです。それをもう何十年もやってきていて、イルミネーション業界の一番まずい点がよく分かっていまして。
LED電球ってありますよね。10メーターに例えば100球ついてるんです。あのストリングスや投光機は、不死身ではないので、大体普通の平場で使ったとしても10%とか、山場で使えば25%ぐらいLEDが切れるんです。
そうなると結局みんなどうしてるかっていうと、全部捨ててるんですよ。それって、まさに環境問題としてどうなの? っていうのがあって、実は再利用していただく全国規模の回収処理会社さんと組んで廃棄LEDを全部無料で回収してるんですよ。
無料で回収して、そこから抽出した銅を提供いただいた施設の方にお返しするということをしています。
うちは単なるそこはプロモーションでやっていて。 世の中の環境のためにやって1円も儲かってる事業では全くないんですけど、うちの団体としては、それはやるべきだろうということで、やってるんです。
なので明かりの世界でも、今やられている会社(まち未来製作所)のスキームを持ってこれたら面白いなと思った次第でした。
今まで廃棄物としてLEDもそうなんですけど、お金を払って回収してもらう、捨ててもらうというのが通常だったんですが、
お金をもらって新しい電力というか、新しい電気を買うため、新しい商材を買うために、古いものをちゃんと再利用するという仕組みを、実は2、3年前に作ったんです。なのでその辺にシンパシーがあると思いました。
ー 今後の再エネにおける展望と新技術
丸々:
日本としては再生可能エネルギーを色々な形で展開はしてきていて、まだまだ伸びしろある感じなんでしょうか?
青山:
そうですね。 1つあるのは洋上風力ですね。これは増えると思います。
陸上にペタペタ貼っている太陽光、これはもう20年超えてきていて場合によっては減っていってしまう?と思っています。
やはり土地を20年限定で借りているような発電所も結構あるので、そうなると撤去しなきゃいけなくなったりとかしますが、逆にもっと性能のいいパネルに置き換えて新しい事業に生まれ変わっていくので少しずつ増えるかとも思いますが、やはり一番は洋上風力なのかなって気がしてますね。
丸々:
そうなんですね。
昔、20年前ぐらいにうちがやってる検定事業があって、振動型発電という。
青山:
ありますね。床発電とかありましたよね。
丸々:
あれ、なんとかならないかなって思っています。
青山:
渋谷とかにひけばいいですよね。
丸々:
横浜の馬車道とか赤レンガの前とかに敷いて、観光客が歩くだけで横浜の街が光るっていうのが理想で、私なんかそこ目指せないのかなっていうのがありまして。技術的な部分だったり 、もっと下に埋設するとかハード的な手間みたいなところがありますよね。
上に何か乗せていくとか、何か立てるじゃなくて、埋めるっていう作業って結構大変だというところはあるので、なかなかこの振動型発電っていうのは広がりにくいなって思ったんですけど、東京の首都高速に全部張ると23区の電力をまかなえるっていう試算が出ていているんです。そういうの面白いなって思ったりしています。
あとはうちが結構かかわってるのが、ボタニカルって言って、ここのゲストでその方も来られたことあるんですけど、植物の成長するエネルギーで発電するっていう。もしかしたら家畜の糞とかと同じようなものかもしれないのですが、水をあげて、地中の微生物が生き生きとすればするほど上にある イルミネーションが輝くというもので、そういうのも今実際に出てきているんです。
もう2、3年前から使い始めているみたいです。そうなると、町の植栽とか町を花とか草木で彩りながらそこのインフラとして上の照明がつく感じになるんです。
青山:
それはいいですね。横浜は今グリーンエキスポとかやろうとしているそうですよね。
親和性ありそうですよね。
丸々:
そうなんですよ。2027年。
なので親和性はすごくあるかなと思うんですけどね。
ー 再エネをもっと身近なものに
丸々:
(最後に)御社からPRしておきたいことがあればと思いますが。
青山:
そうですね、1つあるのは、個人の方とか企業の方が、自分たちが使っているエネルギーがどこから来ているのかを考えていただきたい、ということをお願いとして思っています。
我々はエコだけを目的にした会社ではなくて、どちらかというと地域の活性化とか都市の課題の解決とかを軸足にしているので、これ言うと怒られるかもしれないですけど、極論、石炭とか石油を否定しているわけでは実はないんです。
ないんですが、なぜそれよりも再エネの方がいいかというと、石油とか石炭は海外から買ってくるものなので、
ということは、日本人が一生懸命働いて作ったお金を、一生懸命外に流してエネルギーを買っていることになるんですね。
この構図から脱却するには、やっぱり再生可能エネルギーなんですよね。
日本の土地で生まれたエネルギーを電気に変えて使っていくサステイブルな社会インフラ、これがゴールなので、
それを応援するためにも今、再エネ電気は安くなっているので、高く売れるのだから高く売った方がいいって議論があるんですけど、原価として見ていくと、普通の電気とあまり変わらないぐらいまできていますので、そういう意味で十分生活に耐えうるエネルギーなので、そういうものを積極的に使おうとか、どういう電気を自分たちが使っているのかということを、ちょっと考えていただけたらというのがお願いとしてあります。
丸々:
相当、昔に比べたらそういう思考というか、サステナブルに対して、若い人も含めて考え方が広がってきていますよね。
昔、あまりそういうこと言っても、「ふーん」っていうね、「環境問題ね」って感じだったんですけど、
かなり関心を持った学生さんも含めて(いらっしゃいますよね)。
ー まち未来製作所の今後の展望
丸々:
最後にですね、今後、取り組みたいことってなんかありますか?
青山:
そうですね、今、「e.CYCLE(いいサイクル)」がモデル自体もどんどん規模が拡大しているので、
まず規模の大きさを追求するのが1つですね。
現在、年間で20億kw/hぐらいの(電力の)取り扱いをしてるんですが、
これを最終的には、日本の再エネ量の1/3ぐらいを取り扱えるような1000億kw/hぐらいは取り扱えるモデルにしたいといと思っています。
もう1つはその集めてきた電気を今まで通り産業分野に供給していくだけではなく、個人の方にもお届けできるようなモデルを電力会社さんとか、新電力さんと連携して作っていきたいなっていうのが夢ですね。
丸々:
これから日本の災害がなくなるわけではなくて、何か起こっていくときにも、電力の供給というか作り方っていうのをしっかり(仕組みづくりをして)、且つ地産地消で、どの町で何かが起こっても助けられるような世の中になっていくためにも、こういう事業は、まさに発展しなければいけないし、発展していくもんだろうなと思いました。
本当に長々とお話を伺いまして、ありがとうございました。
丸々:
未来製作所さんのホームページを見せていただいて、そこから非常に興味を持っていたわけですね。うちも夜景、観光、環境という「三方よし」を目指しているところもあって、観光業界における環境のあり方、とりわけ電力、SDGsの明かりづくりみたいなところをここ数年テーマにしていて、そういった中で町に対して、とりわけ電力に対して非常に知見があって色々な解決をされているこの会社というのは本当に素晴らしいなというふうに思います。
全国50カ所ですね。今あちこちでやられてきているという経緯からですね、その先どんどんこれが同じようなビジネスモデルできっと広がっていくんだろうなというふうに、ちょっと思った次第であります。
夜景とですね、環境、観光、それからこういったエネルギーというのは非常に関わりがある中で、その町の電力は地産地消で生かされて、さらにそこから原資というか、利益を生むのであれば、それをまた町に還元していくというシステムは、本当にすばらしいと思うんですよね。
話の中で出てきましたけど、地方で作った電力というものが、東京で使われてしまって、全くその地方で使われてないっていう矛盾を改めて分かった次第なんですが、今後地産地消もそうですし、県単位で協力しながら連携していくモデルもどんどん生まれてくることによって、スケールも広がりやすくなってくるのかと思いました。
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